図1にソリッドモデルを構成する要素を示します。ソリッドモデルであるボリュームは面の集合であります。直方体の場合,図のように6つの面から構成されます。面は線の集合であり,図の場合長方形なので4つの線から構成されます。線は複数の点で定義され,図の場合2つの点で決まります。三次元CADの場合,線はNURBS曲線と呼ばれる線,面はNURBS曲面と呼ばれる面で定義されています。
境界条件としてかける荷重には,ボリュームにかけるもの,面にかけるもの,線にかけるもの,点にかけるものがあります。ボリュームにかける荷重としては自重が代表的なもので体積力と呼んでいます。面にかける荷重としては圧力や面荷重があります。線や点にかける荷重は現実にはありません。というのは線や点は面積がゼロなので,圧力が無限大になってしまうからです。線荷重に近いものとしては包丁で押した場合が考えられますが,包丁の刃先はとても小さい値ではありますが幅を持っているので,無限大ではない非常に大きな圧力で押している面荷重に相当します。点荷重に近いものとしては針で押した場合が考えられますが,針先もとても小さな面積を持っていますので,これも面荷重に相当します。
以上のように現実世界には体積力と面荷重しかないのですが,有限要素法では境界条件として線にかける荷重と点にかける荷重を定義することができます。有限要素法の中では,体積力はボリューム内のすべての節点に外力を設定し,面荷重は面内にあるすべての節点に外力を設定し,線荷重は線上にあるすべての節点に外力を設定し,点荷重は点と一致する節点に外力を設定しています。
節点については有限要素法入門のページを参照してください。
図2,図3は点荷重と線荷重をかけたときの相当応力分布と変形図です。上述したように点荷重と線荷重をかけたときの圧力は無限大ですので,計算結果は荷重をかけた部位で大きな変形と応力が発生しています。このように点荷重と線荷重をかけたときは現実離れした結果となってしまうので,点荷重と線荷重はなるべく避け,面荷重にすべきと考えています。
一方,荷重点から遠く離れた位置の変位や応力を見たいときは,問題を簡素化するために線荷重と面荷重を使っていいと思います。
仮想仕事の原理 を追加しました。