有限要素法で応力分布図を表示するとき,いろいろな選択肢があります。以下のようなものです。
σx(x成分垂直応力),σy(y成分垂直応力),σz(z成分垂直応力),
τxy(xyせん断応力),τyz(yzせん断応力),τzx(zxせん断応力)
σ1(第1主応力),σ2(第2主応力),σ3(第3主応力)
σeq(相当応力,ミゼス相当応力)
最初のσx,σy,σz,τxy,τyz,τzxを説明します。
図1において,物体は左下の方で固定されており,右上のところに外力が作用しているとします。物体内の任意の点(x,y,z)の位置にある小さな立方体を考えます。任意の点の立方体に作用する応力は,立方体の大きさが限りなくゼロに近づいたときの値です。以下のように9個の応力成分があり,物体内の任意の点の応力状態を表現しています。
σxx,τxy,τxz,τyx,σyy,τyz,τzx,τzy,σzz
第一の添え字は作用面を表しています。xならば作用面の法線がx軸と平行であることを意味します。第二の添え字は作用する応力の方向を意味します。σxxは,「法線がx軸と平行に面に作用する,x方向の応力」です。τxyは「法線がx軸と平行な面に作用する,x方向の応力」ということになります。
これらの応力は,物体内の任意の位置の座標(x,y,z)の関数なので,σxxはσxx(x,y,z)と表現できます。物体は外力によって変形するので,(x,y,z)は変形前の位置か変形後の位置か迷ってしまいそうですが,変形量が微小(微小変形問題)だということでσxx(x,y,z)は変形前の位置(x,y,z)の関数としています。
小さな立方体は静止しているので,そのモーメントのつり合いから,τxy=τyx,τyz=τzy,τzx=τxzとなります。便宜上,σxx,σyy,σzzをσx,σy,σzと表記しましょう。応力成分が以下のように6個となりました。
σx,σy,σz,τxy,τyz,τzx
応力をマトリクスTで表記することがあります。(1)式となります。これは応力テンソルと呼ばれています。
応力をベクトルで表記することもあります。(2)式となります。
以上が,xyz直交座標系での応力成分です。
仮想仕事の原理 を追加しました。