本サイトでは,有限要素法,材料力学,強度計算に関する知識について,私なりに勉強し仕事で使ってきた内容を掲載します。まだまだ勉強不足ですが,何かのお役に立てれば幸いです。
狭義では,3次元CADと連携し,シミュレーションソフトウェアを使って,製品や部品に外力が作用したときの応力や変形,熱が流入したときの温度や熱膨張量,流体の流速や圧力,電界や磁界を求めることにより,製品の試作をコンピュータ上のシミュレーションで代替する技術のことです。
広義では,コンピュータとソフトウェアを導入することによって,製品開発の仕様決定,構想設計,詳細設計,試作評価,量産設計,量産,サプライチェーンの各フェーズの作業を効率化する技術のことです。
本サイトで対象とするのは狭義のCAEです。
構造解析,振動解析,熱解析,流体解析,電磁界解析などとこれらを組み合わせた連成解析で,主に有限要素法,差分近似法,境界要素法,有限体積法を使います。本サイトでは有限要素法を用いた構造解析を対象とします。構造解析とは物体に力や強制変位を加えたときに物体内部に発生する変形や応力を求めるシミュレーション技術です。
試作の代替ができます。これにより,試作回数削減による開発リードタイムの短縮と開発コストの低減が可能になります。
設計案の取捨選択ができます。設計上流段階でいくつかの設計案が出てきますが,CAEを駆使することで設計案の優劣を数値化して,比較検討ができます。
製品の強度や寿命を予測することができます。構造解析や振動解析を行うことで,製品に作用する応力やひずみを求めることにより,製品寿命の期間内で製品の破損やクラックの発生の有無を予測することができます。
加工点の物理挙動を可視化・数値化することができます。例えばインクジェット装置の流体解析を行いインクの挙動を可視化することで,性能向上のヒントを得ることができます。
不具合の原因究明と対策立案ができます。製品に不具合が生じたときにその原因を究明し,対策立案のヒントを得ることができます。そして立案した対策案の効果を予測することができます。
有限要素法や材料力学など知識
Windowsが64ビット化しマルチコアCPUが出現して,手軽な価格で購入できるコンピュータの性能が飛躍的に向上し,一方でシミュレーションソフトウェアのユーザインターフェイスが発達した結果,誰でも簡単にカラフルなシミュレーション結果を得ることができるようになりました。しかしここには危険が潜んでいます。ソフトウェアの多岐にわたる設定値の間違い,入力した物性値の単位系の不統一,粗い要素分割,現実を反映していない境界条件などが原因で,計算結果が桁違いに外れている可能性があるのです。このような状態を回避するには有限要素法に関する知識が必要になります。そして,計算結果を正しく解釈するためには,主応力や相当応力など材料力学の知識が必要になります。
強度計算に関する知識
「有限要素法ソフトウェアが出した応力値」と「製品が想定された寿命の間に疲労破壊するかしないかの予測」とを結びつけるには,多くの作業を必要とします。例えば,修正グッドマン線図を用いて疲労破壊の有無を予測するためには,有限要素法ソフトウェアを使って平均応力と応力振幅を計算するのはもちろんですが,この他に材料固有の値である引張強さと両振の疲労限度を調べて許容応力振幅を求め,修正グッドマン線図を作図しなければなりません。このような作業に必要なのが強度計算に関する知識です。
本サイトではこれらの知識をわかりやすく説明していきたいと思います。
仮想仕事の原理 を追加しました。