物体が外力を受けて変形し体積が変化したとき,変形前の体積をV,変形による体積変化量をΔVとすれば,体積ひずみεv(volumetric strain)は次式で定義されています。
図1に示すように,一辺の長さがaの立方体の各面に垂直応力σ1,σ2,σ3が作用して,各辺の長さがa(1+ε1),a(1+ε2),a(1+ε3)に伸びたとします。
このときの体積ひずみを求めましょう。
弾性変形のひずみεは0.001[-]以下と小さい値なので,ε1ε2 など二次以上の微小項をゼロとおいて
体積ひずみは縦ひずみの和に等しくなります。
直方体の各面に等しい引張ないしは圧縮応力σが作用しているときを考えます。弾性体の場合,σと体積ひずみεvが比例し,その比例定数Kを体積弾性係数(modulus of volumetric elasticity)と言います。Kは次式で定義されます。
(3)式の分子の単位は[Pa],分母は無次元量[-]なので。体積弾性係数Kの単位は応力と同じ[Pa]となります。
SS400のKをヤング率Eとポアソン比νから求めてみましょう。K,E,νには,次式の関係があります。
数値を代入しましょう。172[GPa]になりました。
1)中山秀太郎,大学課程 材料力学,オーム社,(S53)
2)日本機械学会,機械工学便覧 A4 材料力学,(1992)
仮想仕事の原理 を追加しました。