三次元版主せん断応力の説明を読むの前に,三軸応力のページと主応力のページを読んでください。
図1に示すように,着眼している立方体の方向を変えればその立方体に作用する応力成分がかわります。
x’y’z’軸の方向をうまく選べば,τx’y’が最大になる方向があります。また,τy’z’が最大になる方向とτz’x’が最大になる方向もあります。このような方向のせん断応力を主せん断応力と呼びます。
主せん断応力をτ1,τ2,τ3と表記すれば,次式で表されます。ここでσ1,σ2,σ3は主応力です。
主せん断応力が発生する方向を説明します。τx’y’とτy’z’とτz’x’が同時に最大となるわけではなく,別々の方向でそれぞれが最大になります。今,x’y’z’軸が主応力を発生させる方向とします。立方体をx’軸を中心に45°回転したときの立方体の6面のうち2面に,τ1,τ2,τ3のうち1つが発生しています。残り4面のせん断応力はゼロです。次に,立方体をy’軸を中心に45°回転ときの立方体の6面のうち2面にτ1,τ2,τ3のうち次の1つが発生しています。最後に,立方体をz’軸を中心に45°回転ときの立方体の6面のうち2面にτ1,τ2,τ3のうち最後の1つが発生しています。そして,主せん断応力が発生している方向での垂直応力σx’,σy’,σz’はゼロではありません。
有限要素法で求まる応力はσx,σy,σz,τxy,τyz,τzxの6つなのですが,この内のどの応力成分をせん断強さτBやせん断降伏応力τyと比較すればよいかはわかりませんね。主せん断応力を簡単に言うと,「6つの応力成分を代表してひとつの応力値」としたものと解釈できます。代表として使うものはτ1,τ2,τ3の最大値です。正確には,主せん断応力は最大せん断応力説に従って機械や構造物が破損(塑性変形や破壊)するかどうかを判断するときに使います。
仮想仕事の原理 を追加しました。