有限要素法ソフトで求まる応力は,6つの応力成分(σx,σy,σz,τxy,τyz,τzx),主応力,相当応力などです。主応力や相当応力と許容応力を比較することで破損の有無を予測します。破損の仮説として最大主応力説を採用する場合は主応力を使います。また,せん断ひずみエネルギ説を採用する場合は相当応力を使います。どちらを使ってもよいと思いますが,引張応力か圧縮応力かを区別できる主応力がおすすめです。
静的強度の評価は下記手順で進めます。
1.許容応力σalを求める。
2.評価点を決める。
3.評価点の第一主応力(最大主応力)σ1ないしは相当応力σeqを有限要素法で求める。
4.許容応力σalと第一主応力(最大主応力)σ1ないしは相当応力σeqとを比較し,破損の有無を判定する。
安全率の定義から許容応力は次式で求まります。
基準強さは,延性材料(鋼,ステンレス,アルミなど)の場合は降伏応力σyとし,脆性材料(鋳鉄,コンクリート,セラミックなど)の場合は引張強さσBとします。安全率fはそれぞれの事情に応じて決めてください。私の場合2としていました。
主応力を使う場合,3つある主応力(第一主応力(最大主応力),第二主応力(中間主応力),第三主応力(最小種応力))のうち,第一主応力をみて最大となる点を評価点とします。プラスの応力値は引張応力,マイナスの応力は圧縮応力です。第一主応力の最大点を評価点とするということは引張応力の最大点を評価点とすることを意味します。相当応力を使う場合は相当応力が最大となる点を評価点とします。相当応力は引張応力でも圧縮応力でもプラス値となりますので,圧縮応力の最大点を評価点としてしまう可能性があります。主応力を見て引張か圧縮かを見極めておく必要があると思います。
その他,破損したら重大な被害が出るところも評価点とします。
有限要素法ソフトを使って,評価点の第一主応力σ1ないしは相当応力σeqを抽出します。
それぞれの評価点の応力について,次式が成立すれば破損しないと判断します。
仮想仕事の原理 を追加しました。